この村での暮らしの基本原則は、罪の懺悔、一般社会からの隔離、財産の共同所有、独身主義、両性の平等、平和主義、人種を超えた友愛主義であり、信者さん達は堅実にこの教えを維持していたようです。しかし、その堅実さゆえに衰退も避けることができず、恋愛が認められない規律により、男性と女性は完全に分かれて作業をし、食堂でも男性セクションと女性セクションに分かれていました。当然結婚は許されず、子孫を残せない彼らは常に外から新たに信者を獲得することで教団を維持していました。しかし南北戦争後のアメリカの工業化や価値観の自由化などの中で、それも難しくなり教団は衰退していったと言われます。

彼らの衰退はこの世界でのユートピアの難しさを語っています。ただ、この博物館を訪問して、彼らが残した教えから学ぶことは私自身多くありました。特に物作りに対する丁寧な作業・真摯な姿勢はクラフトマンシップの手本となり今の私の燻製製造にも影響を与えてくれています。
『 Hands to Work, Heart to God (手は仕事に、心は神に) 』 という彼らの教えは私の好きな言葉です。 『 Hands to Work, Heart to My Customers (手は仕事に、心はお客様に)』 と、自分で置き換えて毎日仕事をしています。

アメリカ東部のボストン郊外にあるSheker's Village (シェーカー教徒村)を訪ねました。村といっても今は誰も住んでいなく、博物館として村全体が保存展示されています。

18世紀後期から19世紀にかけてかつてここには6000人のキリスト教プロテスタントの一派の信者さん達が共同生活を行っていました。彼らは俗世間を離れた田園で農業や牧畜を中心にした自給自足の生活を送り、規律を大切にし労働を尊いものとして暮らしていたといいます。

生活用品も自分達で創り出し、中でも高い技術で製造されるシェーカー家具と呼ばれる、作品の数々は現代のモダンファニチャーにも大きな影響を与えました。

家具造りに関心のある私は、かねてからこの地を訪ねたいと願っており、家具工房とその製作の中に秘められた彼らの信仰の神髄に触れてみたいと思いました。

ちなみにかつて栄えたこの村も、時代の中で教徒は減少し、1960年までには村のほとんどが閉鎖されました。現在では彼らが残した、人と自然に対する徳性と物作りの高い技術力を伝える博物館として保存されています。

  




ハートのくり抜きや、曲線的なカントリー家具とは違い、流行に左右されない正統派のカントリー家具の雰囲気を持っています

シンプルなデザインのキーボックス

家具の展示コーナーが設けられていました。
写真は家具作りに使う型枠や治具などです。

有名なスラットバックチェア

帰国後、さっそくシェーカー調の棚を自分の書斎にの壁に作ってみました。オールドリールを飾っています。 

シェカー調のシェルフ(棚)。大好きです。

トップが重く、一見バランスが悪そうにも思えますが、かなりしっかり作られています。

→  ギャラリーに戻る

主張しないこのシンプルなデザインが好きです。

シェーカー家具の特徴はそのシンプルさにあります。不必要な装飾を可能な限りそぎ落とし、家具本来の持つ機能性を追及しています。その結果、全体的に細身の直線的なデザインが多いですが、強度を得るための細部の工夫や、正確で丁寧な加工がなされているのが特徴です。この家具に見られる簡素化(simplicity)はそのまま彼らの修道的な生活の実践を物語っています。

装飾性の高い現代の暮らしの中で、シェーカー家具の放つ落ち着きが心を癒やしてくれるように私は感じます。

当時、ここで生産される製品は、家具、衣類、栄養食品、日用品、など多岐に渡り、今で言う無印良品的なイメージがあります。高品質が高く評価され全米で広く普及しました。その多くは今日の工業製品のデザインにもその影響を与えています。

彼らの卓越したクラフトマンシップの背景として

「美は有用性に宿る」  「規則正しいことは美しい」 
「調和には大きな美がある」 「言葉と仕事は簡素であること」 


という考え方があります。 カントリーJamも誠実に物創りに取り組み、みなさんに美味しい燻製をご提供し続けて行きたいと考えています。

有名なスラットバックチェアの工房。椅子は、彼らが作った多くの家具の中で唯一量産をし、外部に販売したものです。

教団の収入を大きく支えたヒット商品であるオーバルボックス(楕円形の木箱)、プラスチック容器がなかった時代、どの家庭でもこの箱が使われていたようです。

様々な形のブルーム(ほうき)がここで作られ全米に出荷されて行きました。

アイアン(鉄)を加工する工房。すべてひとつひとつ手づくりで作られています。

木工の作業所です。バンドソー(大型ののこぎり)などの機械もありましたが、当時は電力ではなく川から水を引いた水力で機械を動かしていたそうです。

礼拝を行う村内の教会

村の工房

村内には子供達の教育を行う学校もあります。生活も教育も自給自足。

宿泊部屋。 シェーカー家具と薪ストーブ。このストーブも彼らの製品です。

信者さん達の生活棟。左右のドアがそれぞれ個別の宿泊部屋となっています。

建物エントランス。内部より。光の美しさを感じる造りです。

カントリーJamの守山の2つの燻製工房もシェーカー村のデザインに影響されています。

何気ない小さな小屋ですが、このデザインが好きです。

古い物に慈しみを感じます。

他にも納屋や家畜小屋がたくさんあります。

内部はこのようになっています。

村のシンボルでもある巨大な石造りの円形家畜小屋です。

博物館のエントランスです。入場料大人17ドル(約1500円)を支払い村に入ります。

マサチューセッツ州のボストンから車で約3時間。穏やかな牧草が続くカントリーロードを走ります。

滋賀県守山市
第2燻製工房 →

H24 5.26 現在建築中
滋賀県守山市
← 第1燻製工房

参考)  →  博物館の公式HP

シェーカー家具

村の施設

彼らの工業製品を代表するチェア(左)と木箱(上)です。